料理風景

今さら人に訊けない?! B級グルメの文化

花の写真  毎年、全国各地でB-1グランプリが開催されて、未だに賑わいを見せるB級グルメ。いわゆる高級な食べものとは異なるベクトルで、B級ならではの食の楽しみを提供し、私たちの価値観に新たな風を吹き込んでくれました。

そんなB級グルメですが、未だにその定義が漠然としていませんか? なんとなく、ご当地焼きそばやカレーのイメージが強いような気がしますが……今さら人に訊けませんよね。今回は、日本に花開いた新たな食文化ことB級グルメについて、基本に立ち返ってお伝えします。

B級グルメの定義とは

 そもそも"B級グルメ"という言葉は、主婦と生活社から発行されていた『Angle』という雑誌の連載で、フリーライターの田沢竜次さんによって1985年に初めて登場しました。意外と古くから歴史があるのですね。この連載は後に、同じく主婦と生活社から『東京グルメ通信 B級グルメの逆襲』として刊行されました。それから、文春文庫ビジュアル版で『B級グルメ』シリーズが刊行されたのを皮切りに、この概念が広く知られるようになったそうです。

そんなB級グルメの定義ですが、「安価で庶民的でありながら、美味しい料理のこと」とされています。当時、『B級グルメ』シリーズの担当編集者をしていた里見真三さんは、とある女性誌に書かれていた高級料理を称賛する内容に腹を立てて、B級グルメを提唱したそうです。「必ずしも高級な食べ物だけが美味しいのではなくて、身近にある庶民的な食べ物を美味しく味わおう」という発想から、生まれた言葉だったのです。

知らなかった! B-1グランプリの秘密

 今や誰もが聞いたことのある"B-1グランプリ"という言葉。ご当地のB級グルメの屋台を一挙に集め、その人気を競うという大盛況のイベントです。B-1グランプリの発祥となったのは、2006年に青森県八戸市で行われた大会でした。勘違いされやすいところですが、B-1の"B"は、「B級」ではなくて「Bland」のことです。Blandというのは、各地がアピールしたいブランドのこと。どうしてブランドなのかと言うと、それは、そもそもB-1グランプリが"グルメイベント"ではなくて、"町おこしイベント"だからです。

なんと実は、B-1グランプリはグルメイベントではないのです。食べ物の屋台を出店しているけれども、その本当の目的は、町おこし。料理を販売するだけに留まらず、その料理を通じて地域をPRするのが、B-1グランプリの指針です。今では言葉だけがひとり歩きをして、なんとなく「B級グルメが集まるイベント」というイメージがありますよね。しかし、イベント会場でグルメの食べ歩きをするだけでは、B-1グランプリ本来の目的を達成できません。その料理を通して、実際にその地域へ足を運ぶことが、このイベントが最終的に目標とするところです。

これからのB級グルメ

 青森県で生まれたB-1グランプリは、やがてB級グルメブームを起こし、現在では日本各地で同様のグルメイベントを開催するに至っています。ところが残念なことに、上記のような第1回B-1グランプリの指針は、他のイベントでなかなか上手く共有されていないようです。中には、元祖B-1グランプリが危惧したように、単なるグルメイベントと化してしまったものもあります。今、グルメイベント化したB-1グランプリに出店するために、各地が競って新たなるB級グルメを生み出しています。こうして乱立してしまったB級グルメの市場の今後には、課題が残ります。

今回は、B級グルメの文化についてお伝えしました。あなたもB-1グランプリに参加する際は、本来の意味に立ち返って、町おこしの視点をお持ちになってみてください。