料理風景

流行の熟成肉ってどんなお肉なの?

花の写真  昨今、柔らかくて美味しい"熟成肉"が大流行しました。ステーキ店や焼肉店はこぞって熟成肉をうたい、チェーン店までが熟成肉をウリにしています。数年前まではあまり知られていなかった熟成肉。一体、どのように作られているのでしょうか。また、味や食感は、これまでのお肉とどう違うのでしょうか。気になる熟成肉の文化についてお伝えします。

熟成の手法の違い

 一口に熟成肉(エイジングビーフ)と言っても、その製法には2通りあります。ひとつは「ドライエイジング」。アメリカでよく利用される熟成法で、骨付きのままのお肉を一定の温度・湿度で保ち、20日から2か月ほど寝かせます。この間、お肉の表面がカビたり、乾燥によって全体的に嵩が少なくなったりするそうです。しかし、骨からしみ出した旨みがお肉に伝わり、肉質がずっと柔らかくなるそうです。

もうひとつは「ウエットエイジング」。お肉をそのまま寝かせるドライエイジングとは異なり、布や真空パックでお肉の表面を覆って、同じく一定の温度で寝かせます。その間、15日から25日ほどですから、ドライエイジングよりも期間が短いですね。

熟成肉はどうして美味しいの?

 熟成肉の美味しさの秘密は、熟成期間中に、もともとのお肉よりもアミノ酸の量が増えることにあります。微生物が生成する酵素によって、お肉のたんぱく質が、旨み成分のアミノ酸に変わるのだそうです。これによって、お肉の旨み・甘味・風味などに深みが増します。また、お肉の繊維がほぐれて、より柔らかい口当たりになります。「美味しいお肉」と聞いてまず思い浮かべるのは、ジューシーな旨みと、柔らかい食感ですよね。適切に寝かせた熟成肉は、このような美味しいお肉の条件にぴったりの優れものなのです。

"熟成肉"に決まりはない?!

 昨今メジャーとなった熟成肉ですが、その一方で問題視されている部分もあります。それは、この熟成肉には、日本全国で統一された定義がないということです。きちんと伝統的なウエットエイジングやドライエイジングによって熟成されたお肉が"熟成肉"なら、ただ冷蔵庫に数日間保存したものも"熟成肉"と名乗ることができてしまうのが、現状です。こういった状態に、お肉の専門家たちが警鐘を鳴らしています。

熟成肉は、一歩間違えば、単に腐ったお肉を食べるのと同じ結果になってしまいます。熟成の度合いや手法は、それぞれのお店にゆだねられているのです。したがって、やみくもに熟成肉を選ぶのではなくて、注文は信頼できるお店に限った方がいいかもしれません。

私たち消費者は、そのお肉がどのように熟成されたのかを、知ることはできません。専門的な知識がないために、ただ"熟成肉"という売り文句を信じて、積極的に購入してしまう傾向にあります。柔らかくてジューシーな熟成肉ですが、なんでもかんでも熟成肉という風潮には、一消費者として少し気をつけておくべきかもしれませんね。

今回は、熟成肉の文化についてお伝えしました。今、流行の熟成肉。とても魅力的で美味しい食材ですが、一方で専門家たちが危惧している部分もあります。きちんと食の知識を身につけて、ご自身の健康は自分で守れるようにしましょう。